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循環器内科・心臓血管外科

2017年3月 経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI) 施設認定を取得

2017年3月に施設認定を受け、2017年6月に初症例を行いました。(初症例の様子はこちら

 

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)について

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)とは?

「TAVI」とは Transcatheter Aortic Valve Implantation の略語で、「経カテーテル大動脈弁留置術」と訳されます。TAVI は、胸を開かずに、心臓が動いている状態で、カテーテルを用いて人工弁を患者様の心臓に装着する治療法です。2002年にフランスで初めて治療応用に成功して以来、世界各国で多くの患者さんが治療を受けてきました。心臓の弁が上手く機能しなくなる「大動脈弁狭窄症」の患者様で、高齢などの理由で外科的な手術が困難な方に対する新しい治療の選択肢となります。

大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症とは、大動脈弁に動脈硬化と同じような変化が起きて硬くなり、弁の開きが悪くなり、血液の流れ所が狭くなり、血流が妨げられている状態です。

 

開胸による大動脈弁置換術

症状を伴う重症の大動脈弁狭窄症に対しては、通常は開胸手術により人工心肺使用下に、大動脈弁人工弁置換術が行われます。50年以上前より行われている心臓手術であり、本邦において10000例/年以上行われております。その内で単独大動脈弁置換術は約10000例で、危険性は2.0-3.0%であり、心臓手術のなかでも、手術数が多く、比較的安全性の高い手術の一つとされています。大動脈弁置換術とは、病気の大動脈弁を取り除いた後に新しい人工弁を弁輪部に縫い付けて置き換える治療法です。カーボン製の機械弁と牛心膜等でつくられた生体弁が使用されています。患者様の年齢、病態等により、人工弁の種類は選択されています。
  

対象となる患者様は?

症状を伴う重症の大動脈弁狭窄症(硬化変性による)があり、下記に該当する通常の開胸による外科手術(人工弁置換術)が困難な患者様です。

  1. ご高齢(概ね80歳以上)の患者様
  2. 過去に冠動脈バイパス手術などの心臓手術をしたことがある方
  3. 胸部の放射線治療を受けたことがある方
  4. 肺気腫などの呼吸器疾患のある方
  5. 肝硬変などの肝疾患合併のある方
  6. 悪性疾患合併のある方(1年以上の予後が期待できること)

上記条件に該当しても、現時点では TAVI 治療の適用にならない場合もございます。

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)の治療法?

カテーテル(細い管)を用いて足の付け根の動脈(経大腿アプローチ)または心尖部(左開胸により、心尖アプローチ)から挿入し、大動脈弁の上に人工弁を挿入、留置(置いてくること)します。外科手術は、病気の大動脈弁を取り除いた後に新しい人工弁を縫い付けて置き換える治療法に対して、カテーテル治療の場合は、古いものを下敷きにして、新しい弁を留置するという点で違いがあります。


【大腿動脈からのアプローチによるTAVI】

  


【心尖アプローチによるTAVI】

  


ハイブリッド手術室

通常の心臓手術が行える部屋と心臓カテーテル検査室の機能、設備を有する大型の手術室です。

[ハイブリッド手術室に関するガイドライン]
  1. 手術室面積は60m2以上あることが推奨される。
  2. 設置型透視装置を備えること。(現時点ではいかなる移動式の透視装置も認めない。)
  3. 手術室の壁にX線不透過シールドが施されていること。
  4. 透視装置用の操作室を備えていること。
  5. 空気清浄度がclass II以上に保たれていること。なお空気清浄度class IIとは、「病院空調設備の設計・管理指針」(HEAS-02-2013) の基準による。室内循環機器にHEPAフィルタ等の高性能以上のフィルタ(JIS比色法98%以上) を取り付けることが必須で、室圧は周辺諸室に対して陽圧を維持していなければならない。緊急外科的処置の可能性も考慮し、滅菌機材を展開する部屋もclass IIの清浄度が要求される。
    また、血管撮影室に設置の場合、ハイブリッド手術室に通じる周囲廊下、透視装置操作室もハイブリッド手術室と同等、class IIの清潔度が保たれていること。
  6. いずれのTAVRのアプローチ法においても、透視台、モニター、常設無影灯が適切に配置可能であること。
  7. 人工心肺装置あるいは経食道心エコー検査が可能なスペースが確保されていること。
  8. 開心術が可能な常設無影灯、麻酔器用ガスライン、十分な電圧を有する非常用電源が設置されていること。
  9. PCIや末梢動脈血管内治療を速やかに施行できる準備が整っていること。
  10. カテーテル室改造の場合、シンクを撤去すること。


ハートチーム

ハートチームによる最善の医療の選択、実施。TAVI治療においては、ハートチーム(循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医やその他コメディカル(看護師、臨床工学技士、臨床検査技師)などによるTAVI治療専門チーム)により、各々の患者様にとって最善と思われる方法を検討、選択し、このハートチームにてTAVI治療を行います。2013年の10月日本においても、大阪大学病院にて TAVI治療が始まりました。当院では、大阪大学心臓血管外科関連施設として、手術前の管理、手術後の管理に連携し、すでにTAVI治療に参加しておりました。2013年10月TAVI治療が保険償還されたことを契機に、心臓カテーテル検査室の1室を、ハイブリッド手術室に改良し、TAVI導入に向けて準備を行っております。
循環器心臓疾患の診療に際しては、従来より循環器内科、心臓血管外科の両診療科が連携をして、病気を治すためチーム編成を行って治療に当たっております。
将来を見据えた、より良い治療法を提供していきたいと考えています。この病気でお困りの患者様がいらっしゃいましたら、是非とも気軽に当院に御相談ください。

TAVI治療ハートチーム 大辻 悟(循環器内科)、佐藤尚司(心臓血管外科)