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血管の病気 ~大動脈瘤~

大動脈とは?

大動脈とは?

 動脈とは、心臓から血液を全身に運ぶ管です。大動脈はその中で最も太い動脈です。大動脈は横隔膜をはさんで大きく胸部大動脈腹部大動脈に分かれます。

 まず胸部大動脈では、心臓から出てすぐの最も太い動脈を上行大動脈といいます。頭や腕へ血液を送る頚動脈などの中動脈を分枝しながら大きくUターンします。このUターン部を弓部大動脈といいます。次の胸の中で心臓の後ろをお腹に向かって降りてくる部位を下行大動脈と言います。

 次に横隔膜を貫き腹部大動脈となります。腹部大動脈は肝臓、胃腸、腎臓などの腹部の臓器に血液を送りだす枝を出し、臍の高さで、骨盤内の内臓や左右の足を栄養する左右総腸骨動脈に分かれます。


大動脈瘤とは?

大動脈瘤とは?

 動脈硬化による血管の変化には、血管の内腔が狭くなる狭窄、狭くなってつまってしまう閉塞と動脈壁が引き伸ばされ太く拡大する動脈瘤があります。

 大動脈とは身体の中で最も太い動脈で、心臓から出て全身に血液が送り出される胸部上行大動脈、頭や腕への動脈を枝分かれしながら大きくUターンする弓部大動脈、心臓の裏をお腹に向かって降りてくる胸部下行大動脈、次に横隔膜き腹部大動脈となります。腹部大動脈は肝臓、胃腸、腎臓などの腹部の臓器に血液を送りだす枝を出し、ちょうどおへそのあたりで、左右の足を栄養する2本の中動脈である総腸骨動脈に分かれます。動脈瘤のできる部位により胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤と呼ばれています。また動脈瘤のかたちから、紡錘状瘤/嚢状瘤、真性瘤/仮性瘤/解離性瘤などと呼ばれます。


胸部大動脈瘤とは?

胸部大動脈瘤とは?

 胸部大動脈瘤は肋骨に囲まれた胸腔内にある大動脈瘤がふくれる病気です。動脈瘤の出来た部位にて胸部上行大動脈瘤、弓部大動脈瘤、胸部下行大動脈瘤と呼ばれます。正常の2倍以上にふくれると破裂する危険性が高くなり、手術を勧められます。通常は症状がなく、胸部レントゲン写真などで偶然見つけられることがほとんどです。しかし大きくなると声帯に行く神経を圧迫したりして嗄声(声がかれる)、食道を圧迫して嚥下障害(食べ物が通りにくい)、大動脈弁を変形させて心臓弁膜症になり心不全などの症状を示す場合もあります。

 胸部大動脈瘤は出来る部位から、上行大動脈瘤、弓部大動脈瘤、胸部下行大動脈瘤と呼ばれます。どの部位でも、直径6cm以上のもの、有痛性のもの、嚢状のものは破裂の危険性が高く、手術を行う必要があります。


腹部大動脈瘤とは?

腹部大動脈瘤とは?

 腹部大動脈瘤とは、ちょうどお腹のまん中にある大動脈がふくれる病気です。腹部大動脈は、横隔膜を貫き肝臓、胃腸、腎臓への動脈を枝分かれした後、2本に分かれ両方の足を栄養する動脈となります。腹部大動脈の太さが通常の2倍以上に太くなったものが大動脈瘤です。

 腹部大動脈瘤は通常痛みなどの症状はなく、知らない間に大きくなり、腹部を触ったりしたときに、偶然に脈打つ大きな腫瘤(塊)として触れ発見されることが殆どです。しかし、膨れ上がった瘤は、内腔の血圧に耐えきれなくなった時に破裂します。破裂する際に激しい腹痛、腰痛などの症状があります。腹部大動脈瘤が破裂しだすと、激痛や出血のため失神することが多く、診断されないまま、いろんな救急病院に搬送されています。一時的に出血が止まり意識が回復した際、症状や腹部エコー、腹部CTなどの検査により診断され、心臓血管外科医に治療が依頼されます。また、瘤の拡大により動脈瘤壁についた血栓が剥がれ、足の血管にとびつまることがあります。この場合も、緊急の処置が必要になります。


手術の危険率を下げるために

 破裂に至った患者さんの手術は一番危険率の高い手術になります。できるだけ破裂する前に、全身状態を調べ、体調を整えて安全な手術を受けるようにしましょう。症状のない患者さんの場合の手術では、心臓、肺の病気が危険率をあげます。疾患としては、心臓では狭心症、心筋梗塞等、肺では肺気腫、気管支拡張症等が特に問題となります。原則として、狭心症、心筋梗塞に対しては手術前に冠動脈造影検査を行い、冠動脈の病変を調べ、冠動脈病変を有する人にはカテーテルによる治療か冠動脈バイパス術を先に行ってから、大動脈瘤の手術を行う方が腹部大動脈瘤の手術が安全となります。肺の場合は、内科的治療が基本です。

手術の経過

 手術直後は1-3日間程、食事が出来ません。腸管の動きが回復してきたら、順次、流動食より開始になります。しばらくは満腹を避け、時間をかけて、やや軽めに食事をとるようにします。術後の入院期間は回復の程度によりますが、2-4週間です。

 退院後は極力、体力の回復に努めることが大切です。手術の影響は約3ヶ月で回復します。人工血管の移植後といっても、特に日常生活での制限はなく、ゴルフなどのスポーツをしても心配ありません。なお、人工血管の耐久期間は、20年以上といわれていますので、人工血管が傷んで再度人工血管移植手術を行うことはほとんどありません。

 腹部大動脈瘤の原因は動脈硬化であるため、手術後も血圧のコントロールや食事等の内科的治療と、定期的チェック(年1回程度)を受けることが望まれます。全身の動脈硬化の進行で他の臓器や血管で障害が発生してくる可能性があります。一般的に多いと思われるのは、狭心症や心筋梗塞、腎動脈硬化による腎機能障害、他の部位の大動脈瘤、脳血管障害などです。これら動脈硬化性疾患に対しては早期発見、早期治療で対処しましょう。


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