新たな静脈瘤治療(グルー治療)
「シアノアクリレート系接着材による血管接着治療(CAC)」
2011年に静脈瘤に対するレーザー治療(ELVeS)が保険収載されて以降、下肢静脈瘤に対する血管内治療は標準的治療になっています。しかし、レーザーや高周波ラジオ波を用いた血管内焼灼術は、熱を用いて静脈の焼灼・閉鎖させ、静脈の逆流を止める治療であるため、焼灼前に静脈瘤の原因となっている静脈全体への局所麻酔(低濃度大量局所浸潤麻酔)が必要でした。これに対して、熱焼灼および局所麻酔を必要としない治療の一つがグルー(糊):シアノアクリレート系接着材による血管内接着閉鎖治療(cyanoacrylate closure: CAC)です。
下肢静脈瘤の原因となっている静脈に、約2mm程度のカテーテルを挿入します。静脈の中に、0.1mlシアノアクリレート(生体用接着剤)を注入、一定時間の間、静脈を圧迫して血管の壁を接着させます。その結果、静脈の逆流は止まり、静脈瘤は縮小・消失していきます。接着させる操作中の痛みがほとんどありません。カテーテルを挿入する際に少量の局所麻酔は必要ですが、それ以外に局所麻酔は必要ありません。手術時間も30分程度と短く、日帰り手術も可能です。術後、すぐに日常生活に戻ることが可能な、患者さんへの負担が少ない治療です。
2015年に、シアノアクリレート接着材を用いた血管接着治療(CAC)が、アメリカで認可され、日本でも2019年に保険適用されました。
施術について
step①静脈内にカテーテルを挿入 | |
step②静脈内に接着材を0.1ml注入 | |
step③静脈を圧迫して血管壁を接着させる | |
step④静脈の壁が接着して閉塞する |