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救肢(リム・サルベージ)

救肢(リム・サルベージ)

 救肢(リム・サルベージ)という言葉は一般にはまだあまり聞きなれない言葉です。

 この言葉の意味は書いて字のごとく四肢(殆どは下肢)を救うということです。閉塞性動脈硬化症が進行し安静時疼痛(FontaineIII度)や虚血性潰瘍(FontaineIV度)を発症するような重症虚血肢の状態から下肢を日常生活に障害のない状態に戻す治療を指します。われわれは日常の社会生活において下肢を切断した人々をあまり意識することはありません。

 しかし医学が発達したと思われている現代においても閉塞性動脈硬化症やビュルガー病など下肢血流障害によって現実に下肢を切断されている人々が少なからず存在します。この様な病気に対してわれわれ血管外科医は治療法を研究模索してきました。

 その結果、以前では切断しか方法が無かったような状態の足を救肢できる可能性が増えてきました。具体的には血管拡張剤の開発、血管内治療(ステント)の発達、血行再建術(バイパス手術)手技の向上、遺伝子治療などの開発です。しかしまだ膝より下の下腿血流障害に対しては予後が悪く、切断されている例が多いようです。

 これは①下腿領域の血管内治療(ステント)は確立されていない。②薬物療法では限界がある。③血行再建術(バイパス術)は閉塞率が高く一般に普及するには至っていない。等の理由によります。

 当科では下肢の血行再建術(バイパス術)、特に下腿への血行再建術(バイパス術)に積極的に取り組み、大腿・下腿切断と診断された患者さんの下肢を切断せずに済む状態か、切断が必要な場合でもできるだけ足趾切断のみで済ませ、義足・装具を必要としない社会生活への復帰を目指しています。

 実際には平成15年1月から現在までにFontaineIII度・IV度の患者さん21例に対し、下肢・下腿への血行再建術(バイパス術)を行った結果11例を切断不要な状態に、8例を足趾切断のみで義足・装具を必要としない社会生活への復帰を可能にしました。


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